さて、全体論旨を平面上にレイアウトするというのが課題だった。
レイアウト=配置するということは、その要素をどれくらい上に(下に)置くか、どれくらい右に(左に)置くかを判断するということだ。
つまり2次元の軸を定め、その軸を目印に配置を決めるのだ(もっとも、以前の生徒で、3次元モデルを作って、その透視図法を書こうと構想しているらしい相談が聞こえてきたこともある)。
考えられる軸の2方向は対比の形で表せる。どんな対比が考えられるか?
とにかく自由に考えさせて、いろんな図ができあがるのも楽しみだとも思うのだが、いかんせん時間が充分にとれなかったので、残念ながら認識を共有してしまった。
まずは「である/する」の対比軸は当然選択肢の1つとして想定される。ここまでの授業でもこの対比軸でさまざまな要素をピックアップしてきた。
また、前項で整理した対比もまた当然想定されるべき対比だ。すなわち「政治(政治・経済)/文化(学問・芸術)」という「領域・面」の対比だ。
また、多くのクラスで挙がったのは「理想/現実」といった対比だ。
評論は基本的に、それが好ましいか否かを論ずる・主張するものだ。したがって、まずほとんどの評論は潜在的に「肯定/否定」の対比で何事かを語っていることが予想される。「理想/現実」というのは、何を否定し、その対比として何を肯定するか、ということだ。
また、この論が強調している「倒錯」を示す対比「非近代/過近代」も当然選択肢として想起される。だがこれを対比軸のラベルとして採用するのは、やってみると案外にうまくいかないことがわかる。そのラベルでは括れない要素があるのだ。
というわけで有力と思われる3つの対比から2つを選んで、直行する2方向、いわゆるX軸Y軸とし、文中の要素を配置していく。
- 「である/する」
- 「政治・経済/学問・芸術」
- 「肯定/否定」
試みに、3つのうち2つを選ぶと、選ばなかったもう1つは、どの位置になるか?
またその場合の「非近代/過近代」はどこか?
ここまでは頭の体操として、授業で互いに説明させあった。相手に説明することで「『である』ことと『する』こと」の大きな論理の構造が自身に把握されていることが確かめられただろうか?
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