内田樹の「読む行為」を読む。この名には見覚えがあるはずだ。大学入試にも頻出で教科書やテキストの常連。去年の「現代の国語」の教科書には「『身銭』を切るコミュニケーション」という文章が載っていたが、これは授業では取り上げなかった。授業では「労働」にまつわる文章を二つ読んだ。「労働」の対価は個人が受け取るべきではなく、集団にもたらされるのだ、という趣旨の文章。
さて「読む行為」の趣旨は「思考の誕生」や「真実の百面相」ほど単純ではない。というか、両者に通ずる論旨が含まれているので、それをそれぞれ抽出しようというのだ。
そしてそれらを同じ構文にして並べてみる。「思考の誕生」と「共鳴し引き出される力」でやってみせたように。
まず「思考の誕生」「真実の百面相」それぞれの主旨をシンプルに捉えておく。
- 思考の誕生 思考は他人と考えることで誕生する。
- 真実の百面相 真実は「百面相」だ。
文をシンプルな形にすることで、書くにせよ喋るにせよ考えるにせよ、取り回しが楽になる。主語・目的語・述語の同じ箇所にそれぞれ、対応する語・表現を当て嵌めれば、同じ論理であることが見て取れる。
論旨の抽出の段階で同じ構文にしようと意識しておくと楽だ。
さて「読む行為」から、同様のシンプルさで切り取れるような論旨を抽出しよう。
- テクストの読みは、読み手とテクストの間に生ずる一回性のものだ。
- 「読み手」は、テクストを読むことによってつくられる。
さて、何が何に対応しているか?
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