さてここからは小論文。
テーマは「人にとって『物語る』とはどのような行為か」としておく。
「思考の誕生」「真実の百面相」「読む行為」「物語るという欲望」の4編を、「物語る」というキーワードでつないで論ずる。「物語る」を起点として、他の3編の文章で扱っている論点にそれぞれ言及しているものを高評価とする。
まずは共通した論理を捉えよう。600字程度では相違点をあえて取り上げる必要はない。
さらに一方の論旨を代入してもう一方の論を発展させるよう論理を展開することができればなお素晴らしい。例えば「物語るという欲望」で言っているが「思考の誕生」では言っていないことを、共通部分でつなぐことで「思考の誕生」の方で展開する、というようなことも考えてみよう。
それが内田樹の言う「読み込む・書き込む」ということだ。もともとのテクストに書いてあるわけではないのに、読み手が主体的に「読み込む・書き込む」ことでそこに存在することになる「意味」。
もちろんそうした「書き込み」が、元々の文章が持つ可能性として妥当だとみなせるかどうかは判断の微妙な問題ではある。その文章の論じている問題が、延長線上にそのような論理に至る可能性があると、本当に見なせるかどうか。それが読み手に見当外れに感じられてしまえば論文としては欠点だ。だが、ただこういう共通点があります、で終わるだけの論文に比べて、ということは…と論理を展開してその可能性を拡げる方が面白いのは確かだ。
さて、4編をつなぐうえで、難しいのは「思考の誕生」と「物語るという欲望」ではないかと思われる。実はこれを考えるヒントは、GW前の最後の授業で各クラスで明らかにした(休んだ人のためにここに示す)。
「何もないところ」の言い換えを探したのは、これが「物語るという欲望」でも重要なキーワードだからだが、これは「思考の誕生」の中の何に対応するか?
この難題に、各クラス、少数の人がたどり着くことができた。「他人性」がそれにあたるのだと閃くためには、文章構造の確かな理解や頭の柔らかさが必要になるはずだ。
「何もないところ」=「他人性」?
「対応している」とは、同じ構文の同じ場所に入るということだ。これらの言葉が入るシンプルな文を作って、互換性があることを確認しよう。
もちろんそこには「亀裂・断絶・飛躍・反ー物語」も入りうるということだ。
短く言うことで論旨の核心や論理構造を捉えやすくしておいて、後は必要と思われる説明を展開していく。
各自、「美しい」論理展開を心がけよう。
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