2023年10月12日木曜日

こころ 4 曜日の特定1ープロットを立てる

 本文の精細な読解を始める前に、まず教科書収録部分の大きな流れを把握する。

 本文中で語られる出来事や、描かれている場面を、教科書を見ずに挙げる。どのようなエピソードがどのような順番で起こったか?

 教科書を閉じた状態で考えるというのがミソだ。ページを開いて探すのではなく物語全体を俯瞰してストーリーの流れ、出来事の因果関係を把握することが目的だ。

 「思い出す」というより「考える」。

 思いつく場面、出来事は、それぞれどのような順番で起こったと考えると、整合的な因果関係で捉えられるか?


 物語を短く要約したものを「粗筋(あらすじ)」と言うが、特にこのようなエピソード(イベント)を並べたものを、物語の脚本を考える際の用語として「プロット」と言う。

 漱石はどのようにプロットを立てて小説を書いたか?

 出来事も場面も、細かく挙げればいくらでも細かくできるが、「エピソード」といえるほどのまとまりを考えて、8つに整理する(授業で「イベント」という言葉を聞いた。そういえばゲームではこういうのを「イベント」と言うのか)。

 こう指定したときに、本文を読んでいるはずの全員が同じ8つを数えることができなければならない。話し合いながら、プロットを立ててみよう。


 だがそれぞれの想起するエピソードはなかなか一致しない。単に記憶が曖昧ということもあるが、問題は、何をひとまとまりにするかの切れ目が人によって違ってしまうからだ。印象的な小さな「場面」がいくつも挙がったりする。

 あるいは心の動きのようなことを挙げる者もいる。いや、今並べようとしているのは、心理の推移よりも出来事・場面・エピソードだ。

 話し合いながら、必要に応じて訂正や追加を行う。


 始まってすぐは、正月のある日、Kがお嬢さんへの恋心を「私」に告白するエピソードだ。

 そのあとはKの思惑についてあれこれ思い悩む「私」の思考が述べられるばかりでこれといった出来事も起こらず、わずかにKに対して直接問題の告白の真意を問い質すが、明確な答えを得ないという場面が二つほど描かれるが、それもKの答えが曖昧なためにはっきりとした事態の変化につながらず、エピソードらしい立ち上がりとしては弱い。

 さて、それに続く「出来事」「場面」を7つ書き出す。

 「Kの告白」に続く7つのエピソードに、①~⑦の番号を付して並べる。


 教科書本文は次のエピソードで終わる。

⑦Kの自殺

 いくらなんでもこれが想起できない人はいまい。

 さらに「Kの告白」と「Kの自殺」の間に6つのエピソードを挙げる。


 まず①、「Kの告白」の次に明確なエピソードとして把握できるのはこれだ。

①上野公園をKと散歩する

 この一部分を挙げてしまう人は多いだろう。①はかなり長い範囲を指している。印象的な「場面」がいくつもある。

 だが全体で8つとするまとまりを考えて、それらをまとめて①とする。

 さらにこの間に並ぶ②~⑥を班内で一致させよう。


 さて、①と⑦の次に挙げやすいのは、奥さんに、お嬢さんとの婚約を談判するエピソードだ。「ください、是非ください」は印象的だ。

 これは何番目か?

 それはそれ以外に何をエピソードとしてとりあげるかによる。だがこれ以外はどれも全員が容易に挙げられるというわけではない。上記三つに比べてエピソードとしての立ち上がりが弱い。

 それでも、「7項目」として挙げるなら?


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