保留中の問題も含め、考察すべき問題を総括する。
まず「共に生きる」という単元から「生物の多様性とは何か」という文章に繋がる流れを捉えようとした。つまり「自立」と「環境」をめぐる問題に同じ構造を読み取ろうというのだ。
次に「多層性と多様性」を繋げることで、それを「社会」の問題としても展開する。そこから「〈私〉時代のデモクラシー」に繋げることで、「社会」の中でもとりわけ「民主制・民主主義」の問題を取り上げる。
これらをつなぐためには、ある時は「多様性」あるいは「近代」を接点として、あるいは福岡の論にしか登場しない「動的平衡」という概念を応用して、全てを一続きの展望におさめる。
考え方のガイドとして、それぞれの対比を確認しておく。
対比の考え方は、考えを整理する上でも説明をわかりやすくするためにも極めて有効だということは、いくら繰り返し言っても言い過ぎではない。前回も「多層性と多様性」を読解するために次の対比を整理した。
多様性/単一性・均質性
豊か/退屈・つまらない
強い/脆弱
「多様な方が強い」というためには、一度「均質だと脆弱だ」という言及が説明に説得力を持たせるためにも有効だし、「~ではなく~」という構文を使うのが、主張を明確にするにも有効だ。
「自立」における対比は何だったか?
「自立/依存」というのが一般的な対比だが、「共に生きる」の文章は「依存できることがより良い自立だ」という主旨なので、対立点を明確にするために言葉を換える。かつ左辺に肯定的な項「依存」を置く。どのように対比させるか?
「依存」の対立項にはどのクラスでも「独立」という言葉が挙がったが「独立」という言葉はやや肯定的なニュアンスもあるので、対立を明確にするのには
依存/孤立
と言い換えておこう。
これと「多様/単一・均質」という対比は、対立している要素が違っている。「多様/単一・均質」は「種類が多い/少ない(一つ)」という要素の対立だが、「依存/孤立」はそうではない。
では?
「依存/孤立」の対立要素は「関係が繋がっている/切れている」といったところか(こういうところで適切に表現できることが国語力だ)。
「繋がっている/切れている」と「種類が多い/少ない(一つ)」という対立はどのような関係か?
「民主制・民主主義」の対立は?
「社会主義・共産主義」が挙がったが、それらは「自由主義」の対立で、「自由主義」=「民主主義」は多くの場合は結びついているが、概念としては同じではない。
ということで「民主制」の対立概念は「専制・独裁制」あたりがいいか。
民主制/専制
という対立を、上の対立要素で語る。
もう一度問題を確認する。
「自立」「環境」「民主制」という三つの領域の問題を関連させて論じ、そこに共通した構造があることを明らかにする。それぞれは「多様性」で関連させられる。「動的平衡」は「環境」以外の領域の問題にも応用したい。
その際に次のそれぞれの対比を意識しておくこと。対立項を考えることは主張を明確にする有効な手段だ。
自立→ 依存/孤立
環境→ 多様/単一・均質
社会→ 民主制/専制
テスト前の授業で結論を出すつもりだったのだが、授業の少ないクラスに合わせて、結論はテストの後、小論文という形で全員が文章化することにする。
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