「だが僕は決して美学には行き着かない」の解釈の小論文課題は6割強の提出率だった。これは十分だと考えるべきか? 授業中に考え、話し合うことが既に有意義な学習ではあるのだが、文章にまとめるというもう一手間がまたさらに有益なのだが。
回答には、例の三カ所の解釈の分岐のどちらを選ぶかも聞いた。
「無常ということ」解釈課題の提出者が、例の三つの分岐でどちらを選んだかを集計してみた。
「子供らしい」という形容は
A 肯定的なニュアンス 102人
B 否定的なニュアンス 92人
「そういう~呼ぶべき状態」は
C つかむに適した状態 51人
D 迷路に押しやられている状態 143人
「美学には行き着かない」は
E 行き着くつもりはない 87人
F 行き着けない 107人
さらにこれらを組み合わせると8通りの解釈になる。8つそれぞれに支持者がいる。
ACE 5人
無垢な疑問に迷路に押しやられ、反抗はしない。美しさをつかむに適した状態には疑わしい性質を見つけ出せないからだ。だが美学には行き着くつもりはない。
ACF 17人
無垢な疑問に迷路に押しやられ、反抗はしない。美しさをつかむに適した状態には疑わしい性質を見つけ出せないからだ。だが美学には行き着けない。
ADE 30人
無垢な疑問に迷路に押しやられ、反抗はしない。迷路に押しやられた状態には疑わしい性質を見つけ出せないからだ。だが美学には行き着くつもりはない。
ADF 50人
無垢な疑問に迷路に押しやられ、反抗はしない。迷路に押しやられた状態には疑わしい性質を見つけ出せないからだ。だが美学には行き着けない。
BCE 10人
幼稚な疑問に迷路に押しやられ、反抗はしない。美しさをつかむに適した状態には疑わしい性質を見つけ出せないからだ。だが美学には行き着くつもりはない。
BCF 19人
幼稚な疑問に迷路に押しやられ、反抗はしない。美しさをつかむに適した状態には疑わしい性質を見つけ出せないからだ。だが美学には行き着けない。
BDE 42人
幼稚な疑問に迷路に押しやられ、反抗はしない。迷路に押しやられた状態には疑わしい性質を見つけ出せないからだ。だが美学には行き着くつもりはない。
BDF 21人
幼稚な疑問に迷路に押しやられ、反抗はしない。迷路に押しやられた状態には疑わしい性質を見つけ出せないからだ。だが美学には行き着けない。
こんなことになるのでは、まともなコミュニケーションは期待できない。
小林秀雄には大いに反省してもらいたい。どんな高尚な思想を語ろうが、伝わらなければしょうがない。
こういう韜晦が何やら高尚なことを言ってそうな雰囲気を醸し出してありがたみを増しているのも困ったものだ。
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